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クソったれなシェアハウス生活のはじまり

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シェアハウスのオーナーは、オレのことをかなり勘ぐりを含めた表情で見つめていた。
こいつにはどんなワケ有りな背景が潜んでいるのか…?それはリスクになる心配があるのか。
過去の経験則からそれを探りつつ見極めるようにゆっくりと入居の打ち合わせを進めていった。
その用心深さの理由は、程なくわかることになった。

クソったれなシェアハウスに入場してみた

その日は仕事を終えてから弁護士との打ち合わせを済ましたあと、少しだけ新橋をぶらついてから早めに入居先へ向かった。その日はシェアハウス生活初日だったのでいろいろ整備も必要だ。
新宿駅のコインロッカーから荷物を取り出してから向かう。ようやくこの荷物の置き場ができる。

21:00過ぎに部屋に着いて、恐る恐る玄関を入る。
家庭臭か、加齢臭か、なんとも独特な臭い匂いが部屋を支配している。下駄箱を開けるとその匂いは勢いを増して臭ってきた。どうやら住人の靴が発する「アシガ」がブレンドされたものらしい。
指定されたベットに乗っかってみる。2段ベッドの上段だ。
一応長いカーテンで仕切られてはいるが薄いのでカーテン越しにも人影や物陰は確認できる。
オレの専有が許されているスペースは、この一畳分のベッドの上段と、三段ボックスひとつ分のみ、あとは全て共有スペース。自分の占有スペース以外の場所に私物を置くことは厳禁で即破棄されても文句を言えないことになっている。おそらくシェアハウスを運営してきた過去の経験則から、なあなあになるとオレも私もとダラダラになってしまうのだろう、このあたりは徹底されているようだ。
そして、50㎝下には別の住人が住んでいる。体の体制を変えるだけで木製の2段ベッドが軋んで下の住人に伝わる。なかなか酷い環境だ。
そんな中でも窓も近くて壁際なので、位置的にはなかなか良いと思った。
だが、部屋の電気は常時ついていないので、そのベッドの上に何があって何が置いてあるのかよく見えない。幸い窓越しから繁華街が放つ街の光が入るのでかろうじてベッドの上に布団と前の住人が置いていったものだろうか、バスタオルと枕カバーらしきものが積んであるのは見えた。しかし、どこの誰が使ったかわからないそれを使う気には当然なれなかった。
見学時はライトを点けて見せてくれたので、てっきりライトぐらいは標準装備されているのかと思っていた。

50㎝下の住人(1人目)

オーナーからとりあえず入居時には新入りは挨拶しろと言われていたので、下の段の住人に声をかけた。
下段の住人は遮光のカーテンを締め切り、暗闇でスマホをいじっていた。
遮光カーテンではあるが、オレが上段に登る際にカーテンの隙間からスマホの画面とフリックする指がが見えるのだ。顔は暗闇のため全く見えない。
最初は気づかなかったが、気付くまで声をかけると顔をだしてきた。
「今日からお世話になります。剛樹です。」
というと、
「ああ、はい浅田と言います。こちらこそ。」
と答えてくれた。
いつも電気は付いてないんですよね。と聞くと、みんなUSB電源のライトを用意して使ってるとのことだ。
そう言いながらオレが手ぶらなのを見て、
「真っ暗で何も見えないでしょう。使い終わったらベッドに置いておいてくれればいいから。」
と、浅田さんは自分のライトを貸してくれた。
そして、
「ここは早く抜けだしたほうがいいよ。」
と浅田さんは付け加えた。
まあ、たしかにそうだよねー。ていうかお前モナーって話だろうが…。なんだか泥沼にハマった気分になった。せいぜい泥沼に沈まないように頑張るよ…。
結構住んで長いのか聞いてみたが、夏ぐらいから住んでるらしくまだ間もないですよと言っていたが、それが長いのか短いのかすらよくわからない。

白髪混じりの見た目は暗くてよく見えないながらも、自分より年上、まあ50代ぐらいだろうか…。
この物件の入居には年齢制限があったので、自分より年上がいたことに少し安心した。が、しばらくするとそれが逆にだんだんと不安になってきた。

隣の住人(2人目)

このシェアハウス2人目の登場人物は、細い通路を隔てたとなりのベッドの上段の住人だった。
20歳ぐらいだろうか、まだ若そうだ。
「今日からお世話になります剛樹です。よろしくおねがいします」
と話しかけると、
「あ、はい」
とだけ言い、自分のスペースに入ってしまった。
(で、何か?)
といった、そんな感じだった。
そいつは名前も名乗らなかった。
どうやら新たな新入りの住人が来たのに全く興味ないようだ。
オーナーから住人の情報は名前も含め一切ない。ベッドは確認できるだけで10〜12床あり、9人住んでいるとだけ言っていた。挨拶だけしてれば、そんなにトラブルは無いはずですからと言ってたものの、そんな挨拶すら他の住人が求めてるのかどうか疑問だ。
住んでくうちにわかってくるのかなとも思ったが、このシェアハウスそういう住人同士の交流はない。もっと言うと住人同士、互いに干渉しないのが暗黙のルールなのかもしれない。

借りたUSBライトで荷物を少し整理して、スーツから私服に着替え、ライトを下の住人に返すとオレは買い出しに出かけた。

3人目の住人

出間際に玄関で3人目の住人にバッタリ出くわした。
これまた白髪混じりのやや伸びっぱなしになった髪と、ぱっと見からすると、こいつも50代といった感じだった。名前を名乗り挨拶するが、
「あ、どうもよろしくね。今日はみんな寝てるからまた今度ね」
そんな感じですれ違って終わった。
名前は名乗らなかった。聞きもしなかったが、まあどうでもよくなってきた。

まず買い出しは100円ショップ

生活に必要なものはいろいろあるが、まず今日必要なものだけを100円ショップに買い出しに行った。

USBライト

USBで使えるライトがないと、夜は暗くて全くお話にならない。

Digio2 LED USBライト 2灯 ブラック UA-LED006BK

Digio2 LED USBライト 2灯 ブラック UA-LED006BK

こんな感じのフレキシブルなやつがあったのでゲトる。

延長タップ

あと短いコード付きの3つ口の延長電源タップ。
ベッドに延長コード付きの三口タップが唯一の標準設備として来ているが、これを単なる増口のタップでタコ足にしようとすると必ずアダプタ本体が干渉してくるので、短いコード付きのを探す。

これとは少し形が違うが、良いのが100円ショップにあった。

バスタオル

シャワーを浴びるのにバスタオル

こんなのだったら良いんだけどね。100円ショップなのでペラッペラで小さめのしかなかった。

ハンガー

スーツを掛けるのにハンガー

アイリスオーヤマ ハンガー BAUハンガー 10P BAU-4310

アイリスオーヤマ ハンガー BAUハンガー 10P BAU-4310

そこそこ良質なのが100円ショップにもある。しかし本数は良いのになるほど少なくなる。

髭剃り

洗面用具関係は備え付けが無いので、自前で揃えるしか無い。とりあえず髭剃り。

ジレット カスタムプラス3〈首振式〉 髭剃り 5本入

ジレット カスタムプラス3〈首振式〉 髭剃り 5本入

使い捨ての3本入りぐらいのがあれば十分。

他、シャンプーリンスや、ボディソープ、なんかは、トラベルセットみたいなのが前回のノマドの時に揃えてたのが残ってたので、そのまま持ってきたのでそれを使うことにした。

とまあ、必要最低限の買い物をして、シェアハウスに戻る。
早速買ってきた延長タップで電源を取り、バッグに携帯してる充電用のアダプタでUSBライトを灯す。
真っ暗闇の中で少しはマシになった。
シャワーを浴びて、早めに寝ることにする。
枕とシーツのセットは自前で用意しなければならないが、間に合わなかった。これらは近日中に用意しよう。
標準装備のどこの誰が使ったかわからない(間違いなく男だし)布団をシーツやカバー無しで使うのに少し抵抗があったが致し方ない。
明日朝からはまた一人で起きなければならないし、目覚ましも用意してないので、早々に寝ることにした。

シェアハウスの妄想と現実

シェアハウスといえば、オレが持ち合わせてる脳内の引き出しとしては、テラスハウスみたいなクソリア充で、生活自体が合コン状態なやつだとか、

まあ、これは妄想を具現化しようとして限りなく近づけたものだと理解しているが、或いはもう少し現実的な線では、多種多様な人種が互いに刺激しながら協力しながら節約しながら生活するといったものだった。

そういった意味では、今住んでいるシェアハウスは、シェアハウスの中でもギリギリのところになんとか位置している。そんな感じだ。
夜しかシェアハウスに戻らないせいもあるが、常に部屋の中は暗く、誰かしらが寝ているので電気もつけれず、極限までコストカットしてるせいか、共同の居間的なリビングのような住人が集まって顔を合わせるスペースが無い。こういった構造の時点でもう交流のしようがなくなってくる。これは長年の運営して行く中での不要な部分を削ぎ落とした結果なんだと思った。都心に最低の設備と最低の家賃で住めるということを追求し最適化された結果この形が出来上がったのだろう。
オレが思い描いていたシェアハウスと現実のそれとは相当な乖離があったのは間違いないが、これもまた現実のシェアハウスだ。
このクソったれなシェアハウスからなんとか這い上がるしかなさそうだし、それを目標にして頑張って行くしかなさそうだ。